音色のパレットの三原色。息の『圧力(お腹の支え)』『スピード』『量』。
今回のテーマは、低音域のフォルテ。高音域のピアノ同様、三要素を考えてみます。
その三要素の他に、筆の材質的要素であるアンブシュア、タンギング・・・などがありますね。
三要素全般
まず全般の話ですが、低音域の息は、冬場に手を温めるような息の出し方。高音域の息の出し方は、スープを冷ますような息の出し方・・・という説明を聞いたことがありますが中々的を射ていると思います。
低音域の息は、基本全般的に、スピードが遅く、量もそんなに出しません(場合によりますが)。支えは高音域のように圧力を与えるためというより、息がドバドバと出て行かないように一定の圧力を保つために使われているイメージです。
アンブシュア
低音域では全般的にアンブシュアはユッタリです。低音域で鳴らそうと頑張るのと同時に口を引っ張ってしまう人がいますが、引っ張れば引っ張るほど音が鳴らなくなります。大きな音でもトローン口です。
タンギング
タンギングも全般的にユッタリというか、下の先ではなく、全体を使うようなイメージです。特に低音域の右手の範囲の音は、TTTTというより、デュグデュグとドゥフドフの間というか…舌を火傷してしまって、”あーあつい!”と言えず、”あーあふぃあふぃ!”ってなってしまうような、そんな感じ。しっかり付かない感じです。低音域で使う息は、息のスピードが遅い&圧力もゆったりめなので、その流れを邪魔しない緩めのタンギング。
体内共鳴
フルートは歌同様体内共鳴を意識することが大事です。低音域の時は低い声を出すのと同じで胸骨内の共鳴を意識すると、大分音が出てきます。自分の出せる最低の声(えっと音域がと言う意味です…)を胸骨の共鳴を意識しながら出してみてください。テノール歌手やバリトン歌手を見ると顎を下げてるというか顎から下・喉・胸の中で共鳴させているのが分かります。
低音域フォルテで”espressivo、表情豊かに”
フォルテというからには、息の量は入ります。しかし高音域同様、”表情豊かで、エスプレッシーヴォ”な場合は、息のスピードは上げません。スピード<量では柔らかい印象は高音域と同じです。
たっぷりの量をゆったりと・・・というのが基本ですが、タップリの量をゆったり出すためには、やはりお腹の支えが重要になります。低音域だからとお腹がサボらず、しっかり支えを作り、寧ろ息が勝手に出て行ってしまうのを防ぎます。
低音域フォルテ”鋭く・強く・リズミック(あるいはスタッカート)”
低音域でフォルテは、こちらの方が難しいですね。低音域で鋭くするのが難しいのです。リノスの歌などでも出て来る、頑張れば頑張るほど、音が出なくなっちゃうという、迫力のある低音。
タンギングなしの腹筋だけ練習
この類の音を要求される時の練習方法としては、一番効果的だと思います。低音域での”息の圧力・支え”は、高音域のそれとはだいぶ違います。タンギングなしで、お腹だけで短く出すという練習は、低音域のためのお腹の感覚を掴むにはとても良い練習です。
お腹だけ練習は、アンブシュア・タンギング等に頼らずお腹だけで音を出すことを意識。フっっと勢い良く吐く時に、お腹の中を空っぽにする必要はないです。
下の絵の緑の状態が通常として、軽く吸った状態がピンク、ガッツリ吸った状態が青として、青とピンクの間を行ったり来たりする。
高音域ではこの感覚が広く(勢いがつく)低音域ではこの青とピンクの幅とても狭い(勢いはそこまでない)と考えて良いと思います。ここをあまり強くしてしまうと破裂音になって音になりません。(破裂音が必要な時は別)ピンク部分の支えが大事です。
音の柔軟性の中でもお話しているソノリテについて (Leduc版)のアタックの練習などを使って、普段から練習しておくのも良いと思います。
このお腹の感覚がつかめたら、そこにタンギングを添えるです。つまりお腹である程度鋭い強い音を出せるようにして、そこにタンギングが表情をさらに加えます。タンギングも高音域のように強く使ってしまっては、息の流れ<タンギングになってしまい、音が聞こえなくなってしまいます。その微妙なさじ加減がポイントになってきます。
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