暗譜について (改訂版):暗譜するには?

普通のブログの方に書いた記事の改訂版です。

皆さんは暗譜されている、されたことはあるでしょうか。フルートでは暗譜というのは、必ずしも必須項目でない方もいるかと思いますが、「暗譜」とは一体なんだろう?ということで、フルートテクニックとは関係ないですが、
「暗譜するには?」 
「暗譜とその効用」
「暗譜の不安」
 について書いてみました。

先日四代目寶山左衛門さんの本を読みました。その中で、古典邦楽の笛吹きさんの覚える曲はざっと400曲と書かれていました。知り合いの箏の方もお囃子(邦楽の笛・太鼓)の人達の莫大な曲数を頭に入れてると言ってましたが・・・。

邦楽は基本全部暗譜です。しかも全楽器共通の譜面じゃないので、総譜もなく、他の楽器も覚えておくという、耳で全部覚えるという世界。伝統邦楽は本来は口承伝授なので、続けているうちに、とにかく耳で覚える能力が高くなるのだそうです。それは、鈴木メソードの開発者、鈴木鎮一さんの本、愛に生きる にも書いてありました。私は邦楽の口承伝授にすごく興味があり、それに近い鈴木メソードの論理にも興味があります。基本暗譜前提で、とにかく聴いて覚えろという彼らのメソード。結局自分は譜面から見て覚えてますが、でも沢山聴くことの大切さは絶大です。訓練してると暗譜も早くなるらしいですが、能力の差はあれど、特殊能力ではないのかなとは思います。

ここで、日本の笛を習った時のお話です。

日本の横笛を吹く時、最初に唱歌という呪文を覚えさせられます。オーヒーヤーリーなどという呪文に音程みたいな物が付いているのですが、呪文そのものは音楽の雰囲気だけ伝えていて指遣いとはあまり関係ありません。それを覚えた後指遣いを教わります。で、「はい吹きましょう」となるのですが、唱歌を覚えていると意外と指の動きも付いて来るので、なるほどと思う分けです。とにかく「唱歌から覚えて下さい」と言われ、一度きちんと覚えずレッスン行ったら「覚えてなかったら意味ないですから。」と5分で終了しました。

この方法は、指は指の動きとして単独で覚えているのかもしれないです。よく分かりませんが、仮に指の動きが分からなくなっても、唱歌を頭の中で歌っているので、指の動きが一瞬分からなくなっても続けられるような面があります。

これが同じ横笛でも呪文譜でなく五線譜や指譜(タブラチュア)の場合は、残念ながら私の耳はほぼ全てドレミで聞こえてしまいます。でも同じように頭の中に何かしらの音なり、呪文なりが流れてそれに合わせて指が動いているように感じます。
 私の場合、フルートのでもやはり唱歌がごとくドレミで頭の中でずっと唱えています。フルートは単旋律の分、それがしやすいのでしょう。


暗譜に関する本「こうすれば暗譜出来る!」みたいな本はほぼないですが(効率性の問題じゃないからね)、音楽家が書く本の多くに暗譜についてのエピソードが書かれてます。プロの方々、色々思われるんでしょうね。ヴァイオリニスト千住真理子さんのヴァイオリニスト 20の哲学の中には具体的に彼女の暗譜の仕方書いてあるようです。千住さんは、確か譜面はヴィジュアルで覚えるという方法とどこかで聞いたような…。ヨガのスゴい記憶法だったかに「見て記憶した物を頭の中で見て読 む」・・・みたいなのがありますが、それとは違って、頭の中に書いてある音を見ながら演奏するというわけではないですが、私も言われてみれば、3ページ目に入った所(パート譜)というような目安は頭にあります。

ピアノの暗譜の際は特にそうでしたが、動きを覚えてた気がします。ここは手が広がってパラパラパラって降りてくる…というその動きを覚えたりして。ピアノの場合忘れやすいのが左手だったのですが、フルートも同じでアルペジョがバーっとあるのは良いとして、そのバスの音しか覚えてなくて中身がうろ覚えとか(逆然り)。例えば楽曲分析をすることで論理立てて覚えるということが助けになるかもしれませんね。フルートパートの中でもメロディーと伴奏の役割をしっかり理解するなどは、暗譜に大役立ち!

もう一つ、たまに中々覚えられない・・・というのがありますが、素早く覚えるという点については、「慣れ」もあるでしょうし、後は練習するしかないかな?というの(^^;

素早く覚えるには、とにかくとにかく沢山聞くというのは、大きな手段の一つに思います。上記の鈴木鎮一さんの本、愛に生きるの 中では、何人かのお弟子さんのヴァイオリニストが、何回か聞いてパパッと音を覚えたなんて話が出て来ます。箏の方が御師匠さんも同じで何回か聞いてパパッ と覚えちゃったなんて話を聞くので、優秀な方々のお話にしろ、有り得ない話じゃないのだなぁと。

どちらの教育も、耳からの記憶能力を伸ばすという点で似てるのですが、音楽は結局「聴く」ことだから、多いに有効ではあろうと思うのです。音楽が書かれて、誰でも読めるものになったのは、歴史的にみれば最近のこ とですから。それに沢山聞くことは、曲だけじゃなくて、曲想・音を磨くのに最適な方法だと思います。

そして覚えるぞ覚えるぞ覚えるぞーーー!!!って思いながら覚えようとすると、脳みそが硬くなって覚えられないらしいので、覚えるぞーーー!!!!!っていうよりも、覚えちゃったぞ!の方が良いと思います。

まずは、音楽のこと考えて、練って、一部分だけでも見ないで演奏したりすることなんでしょうかね。

暗譜に関しては、暗譜のプロフェッショナルではないので、私も研究中です。

暗譜その2では暗譜の効用、その3では暗譜の不安についてお話しますね。




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